ディーノは今日も雲雀とバトルという名の特訓をしていた。しかし、何か大きな戦いがあるから、というわけではなく、戦い好む雲雀が単純にディーノと戦いたいと言い出した。こういったことはよくあり、ディーノもロマーリオもも慣れている。


「ディーノさん、頑張ってー。雲雀くんもファイトー」
「おいおい、応援すんならどっちかにしろって」


 雰囲気も和やか、というわけではないが、決戦前の嫌なピリピリ感はなく、むしろちょうど良い刺激で、お互い戦っていた。
 ロマーリオはもちろんだが、もディーノと雲雀の戦いの場にいることが多い。二人の戦いとは対極的に、はのんびりとした様子で見守っている。


「甘いね」
「うお!」


 ディーノが雲雀へ鞭を放ったが、雲雀はそれをトンファーで鮮やかに弾いた。少し予想外だったのか、ディーノ は驚きの声を出したが、実際はそこまで驚いていない。むしろ笑っている。しかし次の瞬間、ディーノが驚きの顔を見せ、彼の顔から笑顔が消える。


「ん?(何かに当たった感触だな」」
「い・・・」
「お、おいボス!」
「え?」
「いったああああーい!」


 何と雲雀が弾いた鞭が、運悪くの顔に当たってしまったのだ。幸いなことに、弾いた鞭だったので、そこまで威力はないが一般人のにあたれば痛いだろう。それも顔ではなおのこと痛さとショックが生まれる。


「うわ!、大丈夫か!?」
「い、痛いです・・・」
「やっべー!悪い、恭弥!一時中断させてくれ!」


 ディーノは珍しく慌てた様子でをお姫様抱っこし、ロマーリオを連れてその場を後にした。雲雀は「仕方ないな」とため息をつき、欠伸をひとつしてから昼寝の時間に入った。
 そのままを車の中へ連れていき、ロマーリオに薬や湿布を買ってくるように頼む。怪我をしたのがで、おまけに自分のせいだということもあり、ディーノは動揺していた。しかし、車の中に戻ると少し落ち着いたのか、の頭を撫で心底謝罪する。


「マジで悪ぃ」
「いえ、私もボーっとしてましたから」
に怪我させるなんて・・・恋人失格だ」
「ちょっとちょっと!そんなに落ち込まないで下さい!」


 あまり見れないディーノのしょんぼりとした様子に、今度はが慌てた。ディーノはいつだって余裕で大人で紳士でエスコートしてくれるような存在だっただけに、こんな姿を見ることはそうそうなかった。あまりに自己嫌悪しているディーノを、は慌ててフォローする。


「いや!俺が悪い!の超可愛い顔に傷が残ったらどうすんだ!」
「可愛くはないですけど・・・」
「嫁にいけなくなっちまう」
「え、そこまでひどい怪我じゃないですよ」


 は一瞬、「もしかしてお嫁にいけないほどの顔だって言いたいのかな?でもそれってひどいよね」などと、ネガティブな想像をした。けれども、先程まであれほど焦っていたディーノが今度は少し笑っている。その笑いはいつもの笑顔と同じ。


「まぁ、いっか」
「え?」


 余裕があって、太陽みたいな笑顔だったり、少し意地悪そうな笑顔だったり。とにかくが大好きな笑顔だった。頭を撫でてくれるその大きな手も、は大好きなのだ。


「だって、どうせ俺が貰うんだし」





未来へ花束
(責任はちゃんと取ってやるから、な?)



2012.8.12〜2013.8.11