「ぐぬぬぬぬ」
「ねぇ、それ毎回やってるの?」


先程から謙也は一人で唸ったり足をバタバタさせたりとうるさい。しかし、これは今に始まったことではなく、 毎回の光景である。私はそれを侮蔑するように横目で見ているのだけれど、謙也はそれに気づかない。


「ちょっと、こっちが落ち着かないんだけど」
「何言うてんねん!落ち着いてるほうが不思議なくらいや!」


謙也はずっと目の前のカップラーメンを見ながら何かを我慢しているようだ。どうせ3分待つのが焦れったくて 仕方ないのだろう。私も同じくカップラーメンを食べようと待っているけど、もちろん謙也ほどソワソワしたり はしない。


「もう食べちゃえば?」
「いくら俺でも3分くらい待てるわ!」
「・・・そうは見えないんだけど」


カップラーメンは結構3分待たないで食べる人も多いみたいだし、良いんじゃないかなぁと思うけど意外なとこで 頑固というか、何というか。まぁ謙也のラーメンは実はまだ1分と少ししか経ってないので、食べるのには流石に 早すぎる。可哀相に、私のカップラーメンはもう3分経ったというのに。そう、私は謙也より早くお湯を入れてい たため、今がちょうど3分経ったくらいなのだ。ピリっと蓋を剥がして食べようとすると謙也がこちらをジーっと 見てきた。


「・・・先食べる?」
「い、いいんか!?」


吃るほど興奮することなのだろうか。私は謙也にカップラーメンを差し出すと謙也は「おお・・・!」と言いなが ら目を輝かせていた。よっぽどお腹が空いていたのだろう。そしてよっぽど待つのが嫌だったのだろう。まるで子供のようだ。


「流石俺の彼女や!」
「・・・どうも」
「めっちゃ愛しとるで!」


そんな大袈裟な。そんな言葉に騙されないんだから、と思いつつも謙也があまりにも嬉しそうにして私の頭を 撫でてくれるもんだから、私は大人しくもう一つのカップラーメンを待つしかなかった。





愛しい馬鹿
(我慢するのも悪くない)



2012/4/29〜2012/8/12