「イケメンって3日で飽きる」
「ええ!?何スか、それ!?」
「いや、飽きるというより・・・慣れる」


彼氏である黄瀬涼太はモデルをやっている程のイケメンである。私だって彼と付き合う前や付き合っていた当初は 周りの人と同じように彼のことをイケメンだと思っていた。しかし、恋人同士となりずっと傍にいると良い意味で も悪い意味でも慣れてくる。彼が笑顔でも特にカッコイイなどとは思わない。彼に対してきゅんとする瞬間が ひとつ減ってしまったのだ。


「ひどいっス!」
「いや、カッコイイとは思うよ?でも・・・ねぇ」


慣れてしまったのだから仕方ないじゃないか。それに裏を返せば、イケメンと思わなくなった今も付き合っている ということは、顔だけでなくそれ以外の部分も魅力的ってことだよ!とフォローを入れようと思ったが、 下を向かれてしまったので何も言えなくなってしまった。いや・・・まさかそんなにショックなことなのだろうか。 やはり顔やスタイルを武器にモデルという仕事をしているのだから、彼のプライドを傷つけてしまった? いや・・・涼太くんはそんなことで傷つくタイプではない。


「そこまで言うなら分かったっス」


彼は下を向きながら何かを決意したようだ。このセリフはまさか・・・別れを切り出される?表情が見えないので 覗き込もうとした。しかしその瞬間、引っ張られるように抱きしめられた。「ちょっと、痛い!」なんて文句を言 う私は可愛くないと思う。ビックリはしたもののもちろん嫌ではないのだが、急に抱きしめられてしまうと 恥ずかしいので文句を言ってしまうのだ。しかし、抱きしめられて恥ずかしくなっても昔ほどきゅんとしない。 どちらかというと、もうドキドキではなく安心感でもある。だが彼は私の耳元へ口を寄せ、一言。


「今夜は惚れ直すくらい愛してみせるから」


いつものコロコロ変わる表情ではなく、含みを持たせた笑顔。そしていつもより色気を孕んだその声とその 言い方に、私は久しぶりにきゅんとしてしまった。





この熱は誤魔化せない
(その勢いでキスされてしまえば流石にドキドキもする)



2012/4/29〜2012/8/12