「あれ、髪型変えたんスか?」
「・・・流石涼太くん。女の子には敏感ね」
「何かトゲがある言い方っスね・・・」


 も普通の女の子であり、髪をアレンジすることもある。季節によってアップにしたり、ストレートにしたり巻いてみたり。普段はバスケ部のマネージャーをやっているため、高い位置でひとつにまとめてしまうことが多いが、今日は気分的に少し違う感じにしてみた。割と丁寧に編みこまれた髪が女の子らしらを表している。前髪もふ んわりとされており、髪型ひとつで女の子は変わるものだな、と黄瀬はボンヤリ思っていた。


「そんなことないよ。ただ女の子が喜ぶツボを抑えてるなーって」
「ちょっと!絶対何か怒ってるっスよね!?」


 黄瀬には思い当たる節がいくつかあった。それは別に今に始まったことではないが、黄瀬の周りには多くの女の子がいるということ。おまけに最近の黄瀬はバスケにほとんど時間を割いており、休日はモデルの仕事が多かった。 黄瀬自身が一番、と一緒に過ごす時間が最近少ないと思っていた。


「・・・ごめん」
「え!?何でが謝るんスか!?」


 先程までの威勢の良さはどこへ言ったというのだろうか。は急にしょんぼりとした顔になってしまった。そんな顔も可愛い、などと思っている黄瀬だが、そんなことを本人に言えば余計に気まずくなると思ったので空気を読んでみた。・・・何となく、何となくだけどが急に大人しくなった原因が黄瀬には分かった。


「あんなの適当に言っただけっスよ」
「え!?」


 おそらく彼女は、黄瀬が以前雑誌か何かのインタビューで答えた好きなタイプについて気にしているのだろう。元々物分かりが良く、束縛などもそんなにせず、干渉もあえてそんなにしてこない彼女だった。でも、たまにヤキモチを妬いてくれることがあって、そんなことが嬉しくもあり幸せだと黄瀬は思っていた。 しかし、雑誌を見てからの彼女は今まで以上に自分にセーブをかけていた。きっと黄瀬に嫌われないように無理をしているのだろう。先程のはそれがついに爆発してしまったということだろうか。


「涼太く・・・」
「あれ?ちょっと髪の毛崩れてるっスよ」
「え!?」
「じっとしてて、直してあげるから」


 おそらくこの髪型も黄瀬に会うために仕込まれたの気持ちと努力の証。何もしなくても充分に可愛いのに、そんな可愛いことをして可愛くなるなんて、どれだけ自分を夢中にさせるんだ、と黄瀬はに言ってやりたくなった。


「・・・そんな顔してると可愛い顔が台なしっスよ」
「可愛くないもん・・・」
「あ、前髪目に入りそう。ちょっと目閉じて」


 のふんわりしていた前髪は、少し崩れ今にも目に入ってしまいそうだった。黄瀬の長くて細い、けれど男らしい手が髪に触れるだけでもドキドキするのに、それが目のあたりに近づくと余計にドキドキする。はそんな自分をごまかし、大人しく黄瀬に言われた通り目を閉じて前髪も直してもらう。


 けれども次の瞬間、が感じたのは目の付近でなく、自分の唇を指で撫でられる感覚。え?と思い目をパチっと開けるとそこには何故か唇を重ねて来る黄瀬の顔が目に入った。ちゅ、とすぐに離れは数回瞬きをさせると、今度は一気に身体が熱くなり、顔が赤くなるのを感じた。そんなの頬を黄瀬は両手で包み込み、笑顔を歪ませながらへ囁く。


「うん、可愛い」


 動揺の言葉を発されることは、黄瀬の唇が許さなかった。





指先で彩り
唇で愛を告げる

にだったらソクバクされたいかも)



2012.8.12〜2013.8.11