「敦くんって・・・モテるよね」
「何、急にどうしたのー?」


紫原敦くんは私の彼氏である。私と敦くんがお付き合いしていることは全校生徒まではいかなくても、ほとんどの 生徒が知っていると思う。何せ敦くんは色々な意味で目立っているから。とにかく背は大きいし、バスケはすっご く上手いし、顔も良いし、お菓子しか食べないし・・・。あの敦くんの性格に惹かれる女子も多い。


「いや、結構告白とかもされてるなーと思って」
「でも、ちゃんとごめんなさいしてるし」


そう、私と敦くんが付き合っていることを知っていても敦くんに告白してくる女の子は多い。それくらいモテモテ なのだ。もちろん敦くんは私という彼女がいるから断ってくれる(当たり前か)。それは嬉しいような複雑なような ・・・なんだけれども、そうではなくて。敦くんはあんなに告白もされてモテるくらい人気のある人なのに、 私は全然モテないからそんな私が隣にいて良いのかなーと思ってしまったり。事実、告白とかもされたりはしない。 誰でも彼でも告白させるわけではないし、それは普通のことなのかもしれないけれど、やっぱり自信はなくなって くる。


「ん・・・たださ、私あまりモテないというか告白とかもされないから・・・」


そんな私が側にいても良いのかなーって、という言葉は小さくなりすぎて敦くんには聞こえなかったかもしれない。 とりあえず正直に不安な気持ちを打ち明けてみた。だからどうなるっていうわけでもないし、どうしてほしいワケ でもない。むしろこんな事を言われたって敦くんも困るだろう。言った後で、ごめんなさいと自己嫌悪した。


「そんなこと心配しなくても良いと思うけど?」


敦くんは珍しく、何故か一瞬驚いた顔を見せたが、すぐにいつもの笑みに戻り私の頭を撫でてくれた。


「だってそれって俺が牽制してるからだし」





見えない檻
(ああ、私はただ、彼から愛されていれば良いのだと思った)



2012/4/29〜2012/8/12