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「痛ーい!!痛い痛い!」 「うっさいねん」 「うわーん、もっと優しくしてー!」 「そういうんはムードある時に言いや」 「・・・うわー!変態!!」 転んだ。それも派手に。この年齢になって前のめりに激しくズターンと転んだのだ。でも、自分の不注意だけ で転んだわけじゃない・・・と思う。 相変わらずと言うべきか、謙也くんと下らない口喧嘩をした。いつもはどちらかの「はいはい」で終わるよう な言い争いだが、今日はそうはいかなかった。内容はもう忘れるほど下らないものだった気がするが、何故か お互い引かなかったのだ。 「本当にはお転婆やなぁ」 「だって・・・」 仕方がないじゃないか。ついこのお喋りな口が馬鹿なことを言ってしまったんだから。「もう分かった!勝負 だ!それも謙也くんの得意なかけっこで勝負してやる!」「おいおい、俺と走りで勝負なんてそれは無謀すぎ やろ」「女に二言はない!いざ、勝負!」などと言ってしまったのが良くなかった。というかその勝負に乗る 謙也くんも大人気ないと思う。まぁ・・・大人じゃないし、私が一番いけないんだろうけど。 「それで一生懸命走って転んだんか」 「・・・そうです」 「は女の子なんやから、傷つくったらあかんやろ」 蔵は優しい。こんな馬鹿な私にも優しい言葉をかけてくれる。けど、手当はなかなか厳しいところに優しいだけの男じゃない、ということを感じさせる。おまけに変な草を取り出して何かをしているし。部長だし、テニス部 で怪我した部員とかの応急手当を蔵がすることもあるだろうから、慣れてるはずなのに痛い。その手当はまるで「あんま無茶したらあかん」と言ってるようだ。そう感じると、蔵にも心配させてしまったんだ、という罪悪感が少しだけ襲って来る。私は知らず知らずのうちに顔が俯き加減になっていたのか、蔵がデコピンをしてきた。 「痛っ!」 「この可愛いひざ小僧が治ったらデート行くで」 この私の膝にまで可愛いをつけてくるのか。そんなこと冗談だと分かっていても、胸がドキドキしてしまうの が少し悔しい。 「え・・・でも今週は練習ばかりで休み1日しかないのに」 「そんなん気にせんでええって」 「でも、」 「せやから今はこれで我慢しい」 蔵はもう一発!という勢いで私の膝に勢いよく絆創膏を貼った。ペシっという音と私の「いだ!」という色気 のない声が重なる。こんな一発要らないよ、と口を開きかけたところでひとつ。くちびるが熱を持った。 「な?」 「(全然我慢じゃないじゃん、バカ)」 |
砂糖が降り注ぐ
(に怪我させた謙也にはお仕置きしてやらんとなぁ)
| 2012.8.12〜2013.8.11 |