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「あーどうしよ」 「どうしたの、?」 「聞いてよ、那月ー!」 事の始まりは数日前。あのテニス部でも有名なアイドル、仁王雅治くんに勝負を挑まれた。その勝負とは次のテストでどちらがより多く 数学の点数を取れるか、というものだった。まぁシンプルな、よくみんながやるゲームみたいなものでもあるんだけど。仁王くん・私・丸井くん の順で横に並んで座っている私には勝機があった。何故なら、この両サイド二人は数学どころか他の授業でもグーグー寝ているのだ。おまけに 「負けたほうは勝ったほうの言うことを何でも聞く」という、これまたよくある罰ゲームつき。もしテニス部のアイドルの仁王くんが私に負けて 、何でも言うこと聞いてくれたら・・・!よくこの教室に来る後輩のワカメ頭の子や怖い真田くんや別の意味で怖い幸村くんと柳くんたちから、 いちいち伝言を頼まれないで済むはず! ちなみに丸井くんは「あー、面白そうじゃん」と最初は言っていたのに、その後すぐに「いや・・・やっぱ俺、無理だからいいや!」と言 って早々に辞退してしまった。どうしたんだろう?と思いつつも、私にとっては仁王くんでも丸井くんでもどっちでも良いから勝てれば良 い!それに、普段寝てる人たちになんか負けるわけないと思ってあっさり引き受けた。・・・結果は惨敗だった。点数だけで言えば私は今 までの数学のテストの中で最も良い点数を取ったのにも関わらず、仁王くんは何と満点だったのだ!もちろんその瞬間に私の罰ゲームが 決定した。 「ってわけでさー」 「で、罰ゲームって何?」 「仁王くんと付き合うこと」 「え・・・えぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇえ!?」 「はぁ」 「ちょ・・・!それってすごいじゃん、罰ゲームじゃないじゃん!」 「私にとっては罰ゲームだよ。私はまだ誰かと付き合ったことなんてないのに」 「初めてが仁王くんなんて最高じゃん」 「えー、すごいモテモテだから何かこわいし」 もちろんこの罰ゲームを言われた時は断った。でも「何でも、って言ったじゃろ?」なんて迫力ある顔で言ってくるものだから思わず了承 してしまったのだ。でも仁王くんはモテモテだから、今までもたくさんの女の人と噂があったし何か慣れてそうだし。多分軽い気持ちで 言っただけだろうからいっか。それにテニス部って毎日忙しそうだし、そんなに遊んだりしている暇なさそうだもんね。気楽に考えようーっと。 「」 「あ、仁王くんおはよう」 「今日練習見に来んしゃい。んで帰らんと部活終わるまで待ってるんじゃよ」 「え、何で?」 「俺たち、付きあっとるじゃろ?そんくらい彼女なら当たり前じゃけえ」 「・・・はーい」 さっそく任務ですか。まさか仁王くんが待ってろとか言うなんて意外。仁王くんはモテるけど、どちらかというといつも女の人が夢中に なってて仁王くんはどことなくクールな感じがしてたんだけどなぁ。まぁ隣の席だからわかることなんだけど。とりあえず今は仁王くんが 飽きるまでこの罰ゲームに付き合うしかない。3日もすれば飽きるだろうし、そしたら私の平穏な日々も戻ってくるはず! そんなこんなで放課後テニス部の練習を見に行った。周りにはすっごく吃驚するくらい多くの人がいた。ファンと思われる女の子たちばかりで みんなキャーキャー言ってるのが聞こえる。特に人気はやっぱり仁王くんと丸井くん。でも幸村くんもすごい人気・・・。あぁ耳が壊れる。 しかもこんなに人が多くちゃ誰も見えないし。ただファンの声に混じってボールの音も絶え間なく聞こえてくるから、本当に一生懸命練習 してるんだろうな。そりゃ仁王くんも丸井くんも授業中は寝ちゃうよね。そんなことを考えながら遠くで見てるとファンの子たちが だんだん帰りはじめた。どうやら練習が終わったみたいだ。どうしよ・・・あっ!あのベンチで待ってよ。 「」 「・・・・・」 「、起きんしゃい」 「んー・・・あ、仁王くん」 「何でこんなとこで寝てるんじゃ?」 「あれっ、仁王くん待ってたはずがいつの間にか寝ちゃった」 「・・・そか」 仁王くんは教室では見せないような顔で笑って私の頭をポンポンと撫でた。うわっ・・・何かドキドキする!仁王くんがいつもの違うやわらかい 顔で笑ったのにもドキっとしたけど、頭を撫でてくれたのにもすごくドキドキした。何か緊張するんだけど落ち着くみたいな。これが仁王くん のフェロモンか・・・。これで世の女の子たちを虜にしているのね。 「ほら、帰るぜよ」 「ん、何?」 「手、繋ぎんしゃい」 「手?手って・・・えぇぇぇぇぇ!?」 「付きあっとるなら普通じゃろ」 「あ、そうなんだ・・・。じゃあハイ」 うわー私、仁王くんと手繋いじゃってるよ!しかも雑誌とかドラマでよく見る恋人繋ぎってやつだし。というかこんな姿を仁王くんのファン の人たちに見られたら、私は間違いなく半殺しにされると思う。そんな私の緊張とドキドキと不安をよそに仁王くんは何かご機嫌だし。・・・ でも仁王くんの手って思ったより温かいんだなぁ。クールなイメージしかないから手温かいのすごく意外。今日は何だか仁王くんの本当の 姿を見れてる気がする。 「ねぇ仁王くん。付き合うフリ、とかじゃなくて付き合うの?」 「そうじゃよ」 「ふーん」 「嫌?」 「うん、嫌」 「・・・俺を嫌なんて言う女は聞いたことないぜよ」 「そうなの?だって何か企んでるニオイがプンプンするし」 「ひどい言われようじゃのう」 「だって仁王くんって隣の席になるまで雲の上のような存在だし」 「俺はんことずっと見てたんじゃけど」 「しかもいつの間にか呼び捨てになってるし」 「そりゃあ付きあっとるからのう」 「さっきからそればっか」 うーん・・・確かに何か企んでるような感じもするけど、そうでもない感じもするし・・・。ますます仁王くんがよくわからないー! いつもの感じが裏なのか、それとも今みたいな時間が裏なのか。雲の上の存在だと思っていたし、そんなにキャーキャー言うタイプで はない私にとってこれは本当に罰ゲームだなぁ。何か悩まされてる感じがとっても嫌だよう!そんなこんなで色々と会話をしていたら いつの間にか暗くなっていて、もう夕方というよりは夜だった。私の家の近くまで来たときに仁王くんが止まったから私も自然に足を 止めた。 「」 「ん?」 仁王くんは私が顔を上げたのと同時にキキキキキキ、キスをしてきた。もう本当に一瞬でされたのかされてないのかもわからない感じだった けど、確実に唇が触れた感触が残っている。うわー、私キスしちゃったよ!しかも仁王くんと!?初キスは自分が好きになった人と、って 決めてたのに・・・。でも、そこまで嫌だとは思わない。 「にににににに仁王くん!?」 「、俺はお前さんが好きじゃ?前から好いとった」 「え?何言って・・・」 「じゃけえ、も俺のこと絶対好きになるぜよ」 「いやいや!何を根拠、」 「そのうちに俺のこと好き、って言わせてみせるけえ」 「全然会話が成り立たない」 「そん時はもう罰ゲームじゃなくなってるじゃろうな」 「(もういいや)」 「これからもっと可愛がってやるけえ。今日は挨拶代わりみたいなもんじゃ」 仁王くんはまたさっきのように私の頭を撫でて帰って行った。もう私にとっては既に罰ゲームではなくなってしまっていたのだ。 とっておきの罰ゲーム
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