、にらめっこしよう」
「え・・・何で?」
「にらめっこしよう」
「だから何で・・・・・・ハイ」





部活が始まる前の部室。来たらまだ誰もいなくてヤッターとか思っていたら私の彼氏こと幸村精市くんが登場しました。 彼は荷物を置くなり隣の席に座ってきて、こっちをずーっと見てる。いつ、誰が来るかもわからないこの状況でベタベタ触られたりエッチ なことをされるよりはだいぶマシだと思っていて、特に相手もせずにいたら・・・。思いっきりニコニコしてにらめっこだなんて 頭おかしいんじゃないでしょうか。でもその微笑っぷりが怖くて結局は従う始末。私はいつも精市には逆らえない。それを彼はわかっているのだ。





「笑ったら負けだよ」
「今、笑ってるじゃん」
「歯見せたらってことだよ」
「あ、そう」
「用意は良い?」





にらめっこしましょう、あっぷっぷー♪とかは流石に言わないんだ。ちょっと精市が言ってるところ見てみたかったのにな。 とか何とか思ってるうちにいつの間にか始まっているらしい。精市はさっきと変わらずニッコリしている。だから歯を見せたらダメと 最初に前置きしたのだろうか。しかし精市がそんな微笑で私を笑わそうとしても無駄だと思う。普通の相手がずっとニッコリ笑って いたら耐えられずにこっちも笑ってしまうかもしれないけど・・・。正直、精市の微笑みを見て笑うほど、私は馬鹿ではない。 世の女の子にとっては天使の微笑みでも私にとってこれは何か企んでるような悪魔の微笑みにしか見えない。





「・・・って!ちょっ、近くない」
「・・・・・・・」
「(無視ですか)」





精市は相変わらずニッコリのまま。ここで誰か部員が入ってきたら間違いなく不思議に思うだろう。いちゃついてるとも思えないこの行為は 一体何を思わせるだろうか。私は精市のニッコリを見ながら自分は変な顔をするわけではなく、無表情のまま精市のニッコリの真相を 解明しようとしていた。・・・でもだんだん見てるうちにやっぱりカッコイイというか美形だなぁとか思ってしまうのだ。惚気とかじゃなく て、本当にキレイな顔をしている。そしてそのキレイな顔が目の前に・・・!というかもうキスしそうなくらい近い距離なんですけど!





「ちょ・・・!もう無理・・・んっ!?」





あまりの近さに耐えられなくなり、ギブアップと言おうとしたところを無理矢理キスをされて口を塞がれてしまったのだ。 いつの間にか精市の片方の手は私の後頭部を固定してるし。離れようと思っても無理なことはとっくにわかっているので 特に抵抗もしなかった。でもあまり調子に乗らせるとこのまま部室で淫らな行為を始めるであろう男なので一応の抵抗はしておいた。





「んぅ・・・っ」





あー・・・でもこのまま流されそう。いやいやダメに決まってるじゃないか。今の状況で部員が来たらどうするんだ!赤也やブン太、あと 仁王あたりはヒューヒューとか言ってきそうだし、柳生と真田はこんなところでけしからんとか言いそう。柳は意味もなくデータ取りそう だし、ジャッカルは・・・同情してくれそう。とか思考をグルグルさせてたらやっと精市が解放してくれた。





「・・・はぁ。急に何?」
「やっぱりは俺に弱いね」
「は!?何が!?」
「ふふっ、可愛い」
「いや、意味わからないんですけど」
「良いデータが取れたぞ」





私が精市に聞いてる時に、にゅっと姿と声を現してきたのはさっきの予想通りのデータマン柳だった。何やら熱心にメモを取ってる。 一体何をそんなに書く必要があるのだろうか。というかいつからいたのだろうか。この男は存在さえも消せる程の人間!? むしろ中学生という職を捨てて探偵にでもなったらどうだろうか?





「いつからいたの!?」
「何を言ってる。俺は最初からいたぞ」
「え・・・」
が精市の顔を間近にした時、何秒持つかのデータが欲しくてな」
「何それ!?何に使うの!?」
「なかなか良いデータが取れたぞ。やはり予想通り60秒だったな」
「・・・・・」
「付き合ってるならもっと精市の顔に慣れておいたほうが良いんじゃないか」
「・・・・・まさか精市も共犯者?」
「共犯なんて人聞き悪いなぁ。ただ面白そうだから協力しただけだよ」
「それを共犯って言うんじゃ・・・」





あああああああ!!!!!やっぱりこういう事だったのね!!!精市の顔が何か企んでそうな微笑みだったから何かあるとは 思っていたけど・・・まさか柳がいたなんて!ショックすぎる。これじゃ私が精市にメロメロみたいじゃない。だいたい精市のあの 国宝級な顔に60秒も耐えたのってすごいと思うんだけど。というかキスシーン見られたぁぁぁぁぁ!





「大丈夫だよ」
「えっ?」
「蓮二に頼んでの顔は見ないようにしてもらったから」
「・・・へっ?」
が俺を近くで見て頬を赤く染めてるとことか、俺にキスされてる時の顔とか誰にも見せたくないからね」
「・・・私の後ろにいたってこと」
「まぁそういう事だ」
「そう、それなら良かっ・・・って!全然よくなーい!」






60秒のにらめっこ






(ねぇ柳、そのデータ何に使うの?)
(・・・・・・)
(ねぇ!ちょ、何で答えてくれないの!?)
()
(・・・何、精市?)
(俺がもう1回、口を閉じさせてあげようか?)
(・・・スイマセン、もう何も聞きません)