「悔しかったらかかって来なせェ」
「うぐ・・・」


何回挑戦しても悔しくて仕方ない。特に女でありながら隊士という役職についてる私は人よりプライドが高い。だから余計悔しくもなるし、 勝てる見込みがあまりないとわかっていても、性懲りもなく挑み続けている。もちろん剣術で挑んでいるわけではない (正直、総悟に勝てるのは屯所内でも外でも、なかなかいないだろう)。でも今の私は総悟に剣術で挑むよりも無謀なことに挑戦しているのかも しれない。自分でも総悟に勝てないのはわかってる。総悟を納得させるようなキスが出来るわけがない・・・!!


「今日はもうお終いですかィ?」
「ちょ・・・!待って!」


数日前に総悟が「今から何人攘夷浪士を捕まえることが出来るか」という話を見回り中にしてきた。私は大して興味もなく「じゃあ2人くらい」 と言った。そしたら総悟は5人と答え、何だか知らないけどいつの間にかゲーム化してたのだ。負けたら勝ったほうの言うことを聞く、という ものだけど、まぁ別に軽い冗談みたいなものだろうと思っていた。しかしいつもサボってばっかりの総悟が急に頑張り出してあっという間に5人捕まえて しまったのだ。まだ何人かいたというのに、残りのヤツらは他の隊士たちに任せてしまうという何ともまぁ堂々としたマイペースっぷり。 総悟はきっちり5人にしたかったのだろう。そして私にどうしても言うことを聞かせたかったのだろう。


「俺が納得出来るキスをからして下せェ」


これが総悟が出してきた命令だった。もちろん私は冗談ではなかったのか?と聞いたのだけど、そんな言い訳が総悟に通用するワケもなく 総悟に黒い微笑みを向けられ、嫌だと言うことも何も言えず了承してしまったのだ。そしてこれは私にとっては難関中の難関。総悟と恋仲に なってからだいぶ月日が経っているが、私は未だかつて自分からキスなんてものしたことがない。自分からどっか遊びに行こうとも言えないし 手を繋ごうなんて言えないし、キスしようなんてことさえも言えるワケがない。そんな私が自分からキッス!しかも「総悟が納得出来る」キス でなければいけないなんて・・・!!総悟は私がこういうこと苦手だってわかって言ってるんだ。私が赤くなることをわかって言ってるんだ、ちきしょう!


「全然ダメでさァ」
「もーう・・・どうしたら納得してくれるって言うの?」


それでも私は頑張った。最初はほっぺにちゅーという可愛い方法で試みた。私にしてはこれは頑張ったほうなのだ。ひょっとしたら総悟も この頑張りを評価してくれるかもしれない!と思ったが・・・S星の王子はやっぱりSだ。即やり直しと言われ、あっさり切り捨てられてしまった。 だからもう本当に恥を捨てて頑張って総悟の唇にキスをした。もう本当に頑張った!もう私にはこれ以上無理だよ!ってくらい自分のありっ たけの力を出したつもりだ。


「そりゃあの気持ちが伝わるくらいのに決まってんだろィ」
「気持ちならもう充分伝えてるじゃーん」
「あーあ、愛が足りないでさァ」


総悟は熱いキッスを求めているのだ。俺がいつもしてやってるようなキスをしてこい、と言いたいのだろう。確かに総悟のキスは強引で深くて 厭らしくて・・・でもそんなことを思ってるうちにボーっとしてきてしまっていつの間にか服をペロンと脱がされ、喰われてしまう、そんな キスを私にしてこいというのだろうか・・・!?無理無理無理無理無理無理、絶対ムリ!!!!そんなん恥ずかしくて出来るわけないじゃんか! 私は隊士ということ意外が普通の女の子なんだから。もう何回キスしたと思ってるんだ!


「じゃあ・・・練習してくる」
「練習?」
「誰かに頼んで総悟好みのキスが出来るようにしてもら・・・」
「それ、本気で言ってるんですかィ?」
「う・・・ううん、嘘!嘘に決まってるじゃーん」


冗談で言ったつもりなのに目がマジになってた・・・。ただでさえブラックなのに余計こわいよー。


「リベンジならいつでも受付てやりまさァ」
「・・・もうちょっと頑張る!」


もう今日はこれで最後にしよう。もうすぐ夕食の時間だし。とりあえず総悟にまた近寄るんだけど・・・どうしていつもそんなに整った顔 をしてるのよー!総悟の顔がここまでカッコよくなかったらこの命令だってひょっとしたらもっと楽だったかもしれない。しかも総悟の顔 が近いということは同時に自分の顔も近くで見られてるということ・・・!ひー!!!最近ニキビ出来ちゃったから近くで見られたくないのにー。 総悟はこんなに顔が近いのにしっかりと目を開けてニヤニヤしてるし。あー、もうとりあえずキスしちゃえっ!


「ちょっと目閉じて」
「早くして下せェよ」


目を閉じてもカッコイイよ、ちきしょう。総悟の肩に手をかけて頑張ってキスをする私。でもまだ総悟が求めてるような熱いキスは出来ない から今日は軽めのキスでとりあえず済まそう。そろそろ良いだろうか、と思って口を離そうとしたのだけれど・・・それは総悟によって 妨げられてしまったのだ。


「ん・・・!?」


そして総悟の求めているようなキスが私の中に広がった。とりあえずこうなるとなかなか離してはくれないから、一応私も頑張ってはみた。 しかしそのまま押し倒されてしまいそれに気づいたときに見えたのは総悟の顔と天井だった。いつの間に押し倒されたのだろうかという早さ。 いや、感心してる場合じゃない。さすがに今はマズイでしょう!


「ちょ・・・総悟!何、どうしたの?」
が何回も赤い顔してキスしてくんの見てたら我慢出来なくなった」
「なっ・・・!総悟が言ったんじゃん!」
「だから責任取って下せェ」
「会話成り立ってないし!」


もちろん夕食も食べずに、そのまま私は喰われてしまったのだ。しかもなのにまだ命令は続いてるらしく、私は未だにこの呪縛から解放されていない。 ちょっと頑張って熱いキッスをしようとすればまた喰われてしまうというそれの繰り返しなのだ。何回もリベンジを繰り返してるのに結局成功は しないから(ある意味、総悟によって阻まれているからなんだけど)永遠と続くのだ。私がこのループから抜け出すことはおそらくないだろう。






リベンジ受付中






(そんなに俺にキスしようとしてくるなんては俺に夢中ですねィ)
(総悟がやれって言ってるんでしょーが!!)
(嫌がりながらも従うくせに何言ってんでさァ)
(うっ・・・)
(あんま恥ずかしがる顔してるとまた喰っちまうぜィ)