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告白するタイミングも勇気も台詞も、みんなが一緒に考えてくれた。もう私に足りないものはないはず・・・!なのに部活が始まってから胃がキリキリするのは何故!?ああ、あの時計の秒針が動く度に、勝負へのカウントダ ウンが刻々とされているように思えて仕方がない!・・・あ!そういえば場所は!?どこで告白しよう!?こんな ギリギリになって大事なことを忘れてたあああああ! 07:ラスボス赤司くんに 告白をして彼女にしてもらう 〜後編〜 「・・・さん、さん」 「・・・え?うわ、テツヤくん!びっくりしたー」 「顔色が悪いみたいですけど・・・大丈夫ですか?」 「そ、そう・・・かも」 場所!場所どうしよう!?あと少ししかないのに、こんなに緊張してる状態で頭回らない・・・!とか何とか ひとりでパニクっていたら、いつの間にか部活も終わりに近づいていた。ちょっと前まで朝練だった気がするのに…。 時間が経つのが早すぎるううううう! 今更「告白してダメだったら・・・」なんて不安はない。けど、やっぱり緊張はしちゃうもの。この緊張ばかりはどうやって解 せば良いか分からない。これ・・・みんなの試合前と同じくらい緊張する! 「どうしたんですか、挙動不審ですよ」 「うう・・・今日このあと、赤司くんに告白しようと思ってて」 「・・・そうですか、それは緊張しそうですね」 「そうなの!すごくドキドキしてきちゃって、しかもどこで言おうか考えてなくて・・・!」 今までみんなに協力してもらった告白のイメージプランを、テツヤくんに話ながら場所について相談してみた。 やっぱり無難に体育館裏とか?でも、体育館裏って勝手なイメージだけど、不良とか番長・・・っていうか果 たし状を出して決闘する場所のイメージが強かったり。(いつの時代の話だって、自分でも思うけど) 「僕は体育館裏でも校舎裏でも、あと人が少なくいところなら何処でも良いと思いますよ」 「そ、そうかな」 「場所よりも気持ちの方が大事ですから」 「・・・テツヤくん、良いこと言うー!」 「あとはちゃんと想いを伝えるだけです」 「それなんだよね・・・あーめっちゃ緊張するっ」 そういえばテツヤくんってあまり緊張とかしなさそう・・・っていうか慌てたりもしないし、顔に出ないだけな のかな?というか、キセキのみんなもあまり緊張とかしなさそう。やっぱり場数(試合数)を熟す経験値とか?と いうことは・・・私も経験を積めばこの緊張はなくなるかも! 「まぁ緊張って必ずしも悪いこととは限りませんから・・・」 「そうだ!ね、ね、テツヤくん!お願いがあるの」 「・・・何でしょう(嫌な予感)」 「練習付き合って!」 「・・・何のですか」 「告白!」 「嫌です(赤司くんに誤解されたりしたらすごく面倒くさい)」 「早っ!即答!?」 「・・・それなら慣れてる黄瀬くんの方が良いと思います」 テツヤくんが「ほら」と指をさす先にはバスケ部一、いや学年一、いや世間でも超モテる涼太くんがシュート練 習をしていた。まぁ私からしたらテツヤくんも涼太くんも、二人とも大事な友達なわけで、二人に抱く感情は同じ だから、どちらが練習相手になってくれても、もちろん申し分ない。こちらに気づいた涼太くんが、汗を拭いなが らも爽やかな雰囲気を纏いながらこちらに駆け寄ってきてくれた。 「黄瀬くん、ちょうど良かったです」 「今俺のこと呼んだっスか?」 「ちょっと練習に付き合って下さい」 「ああ、もちろんっスよ!今からっスかlそれとも自主練?」 「いえ、さんの練習相手になってほしいんです」 「・・・はぁ?」 もう部活動の練習はあと10分程で終わり。今はみんな軽くクールダウン的にストレッチをしたり、軽くシュート やドリブルなどをしている時間。つまり・・・告白の時間まであと少し!あああああ、意識したらまた緊張 してきた! 「・・・ということで、さんの告白の練習相手になってほしいんです」 「ええ!?俺がっスか!?(つーか黒子っち、この前、俺にあんなこと言ったくせに・・・)」 「はい、黄瀬くんなら慣れてると思うので」 「お願い、涼太くん!」 あんまり大きな声を出すと目立ってしまうため、小さな声で頭を目一杯下げて頼み込んだ。・・・でも、よくよく 考えればテツヤくんにしても涼太くんにしても、図々しいお願いをしてしまったかもしれない。だって二人が何かヒ ソヒソ喋ってるもの。ぐすん。 「ちょっと黒子っち!何てこと俺に頼むんスか!赤司っちにバレたら絶対面倒くさいっしょ」 「僕もそう思いました」 「もしかして最初は黒子っちがお願いされたとか?」 「はい、断ったんですけどそのままにしておくのも可哀相な気がして」 「それは分かるっスけど・・・うーん、やっぱっちの緊張を解してあげれば良いんじゃないっスかね」 そうだよね、よく考えたら無理なお願いだし、特に涼太くんなんて普段からモテモ テでよく告白されてるから、こんな事かったるいのかも。うわぁ、全然気付かなかった!というか二人ともバスケ大 好きだから今こうしてる時間もきっと練習がしたいよね。あああああ、どんどん自己嫌悪。 「さん、」 「は、はい!」 「告白はやっぱり大事なことですから、好きな人に言うまで取っておいた方が良い気がします」 「そうっスよ!その代わり、っちが落ち着くまで俺らがついてるっスから」 「テツヤくん、涼太くん・・・」 「緊張した時は人という字を・・・」 「黒子っちそれ古くない!?」 「・・・黄瀬くんはいつも緊張しない図太い人間なので効果を知らないだけです」 「あれ!?ちょっと怒ってないっスか!?言葉にトゲがあるんスけど!」 「・・・あはははは!」 「さん?」 「あ、ごめん。でも何か二人のいつものやり取り見てたら少し落ち着いたかも」 二人は一瞬目をパチクリしていたけど、すぐにいつもの朗らかな笑顔になった。「いつもの」みんなを見ていたら だいぶ落ち着いてきた気がする。もう大丈夫、私もいつも通り。それにさっきテツヤくんがさらっと言ってたけど (流しちゃったけどちゃんと聞いてた)、緊張は必ずしも悪いってことじゃない!緊張してもちゃんと想いを伝え るだけ! それから数分経って、ついに本日の部活が終了した。このあとは、自主練する人達は少しの休憩を挟んで各々練習 をする。さて、赤司くんは・・・いた!真太郎くんと喋ってる。私は二人の会話が落ち着くのを見計らって、ついに 赤司くんに声を掛けた! 「ああああああああ、赤司くん!」 「ああ、か。お疲れ様」 「おおおお疲れ様でございます!あ、あの今日、本日、今、ただいま数分でございませんのでお時間頂戴頂いてもよろしいでございましょうか!?」 「(・・・日本語がぐちゃぐちゃなのだよ)」 「・・・良いよ」 「あ・・・ありがとう!えっと、あの」 あれ、ちょっと待って。ここで言うの私!?ここってまだ体育館の中だし、まだみんないるし、近くに真太郎くん いるし!え、でもここから移動してもらうのって難しくない!ここから二人で体育館の裏とかに行くのも不自然だし 、だからと言って「今」って言ったくせに、じゃあ後で体育館裏に来てって言うのも何か不自然なような・・・。あ ああああ、パニックに弱い女!それは私、! 「・・・そうだ、その前にちょっと顔を洗いたいから行って来ても良いかな」 「どっ、どうぞどうぞ!」 「そういえば今日洗ってくれた俺のタオルは乾いてる?」 「そ、それはもうふわっふわのほわっほわに乾いております!」 「じゃあ後でそれを持って外まで来て欲しい」 「はっ!承知致しました!」 こ、これはもしやチャンスでは!?もう人もバラけてきているし表なら尚更人がいない!そうだ、そこで言おう! 赤司くんが顔を拭いて一段落したところがアタックチャーーーーーンス! 「お前・・・従順な部下みたいなのだよ」 「失礼な!」 「まぁ良い。赤司がわざわざ作ってくれた気遣いを無駄にしないようにすることだな」 「え?」 真太郎くんがワケの分からないことを言うだけ言って去って行った。申し訳ないけど今の私に色々考えられる余裕 なんてものは1ミリも存在しておらず、赤司くんのふわっふわのほわっほわに乾いたタオルを持って彼がいるところ まで小走りで向かった。 そこには赤司くんが顔を洗うお姿。あ・・・赤司くんが顔を洗っていらっしゃる・・・!しかも!髪も少し濡れていてちょっと色っぽい・・・って、一体 何を考えているんだ、私!赤司くんが顔を上げた瞬間「はい」って渡すと「ありがとう」って言ってくれた。たった それだけなのにすごく嬉しくて、すごく安心して、さっきまで破裂しそうだった心臓は今では心地好く鳴っている。 「あのね、赤司くんに伝えたいことが・・・あるの!」 「うん、何?」 「・・・って!」 えええええ、ちょっと待って!近い近い!赤司くんが水道の縁の部分に手を置いただけなのにすっごく近いんです けど!ものすごく近く前立っているだけなのに、後ろに下がろうと思えば下がれるのに下がれない!これは魔法か何 かですか!?めっちゃ近い!めっちゃ顔がキレイ!ってか顔小さっ!赤司くんって目悪いとかじゃないよね? 何でこんなに近づいてくるんだ!いや、でもそんなこと気にしたって仕方ない! 「わ、私・・・赤司くんのことが好き!です!すっごく好きです!私と付き合って下さい!」 私ひとり、時間が止まったような感覚だった。周りの音も何も聞こえないし、周りも何も見えないような不思議な 感覚。ひとつ勇気が足りなくて、赤司くんの顔を見て言うことは出来なかったけど、言いたかったことは言えたのだ から満足。もしかしたら赤司くんにとっては迷惑かもしれなくて、完全に私の自己満足かもしれないけど、それでも 私は後悔なんてしてない。というかスッキリ! 「・・・やっと言ったね」 「え?」 頭上からぽつりと降ってきた赤司くんの声はほとんど聞き取れなかった。聞き返そうと顔を上げた瞬間、赤司くん は私にタオルをかぶせてきた。え?と疑問を問い掛ける隙もなく、私と赤司くんの距離はゼロになった。というか唇 が重なっていた。また時間が止まったような感覚がして、そのことを理解するのでさえ、数十秒要した。瞬きなんて 出来るはずもなく、でも目が乾いて一回パチっと瞬きをしたところで、ようやく私たちの間にまた距離が生まれた。 「好きだよ、」 えええええええええええええええええええええええええ!? こっ、これは夢でしょうか!?好きって何が?誰が?誰を?好きだって!?そんな混乱の声さえ喉から出て来ない。え、赤司くんも私を好きってこと!?えええええ、嘘でしょ!? 「?」 「こ・・・腰抜けた」 ここに涼太くんがいたら「おばあちゃんっスか!?」とか言われそうなくらい、腰がするすると抜けて座り込んでしまった。人って驚くと本当に腰が抜けるんだ・・・とか冷静に考えてる場合じゃない。そっちよりもこっち。赤司くんだよ、赤司くん!赤司くんは腰を抜かした私を見てクスっと笑った。その笑顔にさえ、きゅーんとしてしまうなんて・・・重症だ。おまけに赤司くんは私と目線を合わせながらゆっくりと立ち上がらせてくれる。うう、やっぱり優しいなぁ。 「信じられないなら、これから何度でも言ってあげるよ」 耳元で囁くように言わないで欲しい。せっかく赤司くんが立たせてくれたのに、また腰が抜けそう・・・。私の顔 はきっと赤司くんの髪の色より真っ赤なのでしょう。ひとりで赤くなって恥ずかしい!・・・でも、そんな恥ずかしさも今はやっぱり幸せ。 「今日一緒に帰ろうか?もちろんちゃんと送るから」 「う・・・うん!」 キセキのみんなに相談に乗ってもらったり、協力してもらったり、応援してもらえたからこそ今がある。とにかくみんなに 感謝の気持ちを「ありがとう」と単純な言葉だけど伝えたい。それからもうひとつ。 私、赤司くんの彼女になりました! ・・・でも声を大にして報告することもなく、みんな一部始終を覗いていたようでした。ちゃんちゃん。 「僕を散々待たせたんだ、これからは僕にたくさん付き合ってもらうよ」 「・・・え、今何か言った?(緊張が一気に解けてボーっとしてた)」 「・・・いや、まぁ良い。たった今からいつでもの隣にいれるんだからね」 Back * TOP |